ブックタイトルフリーマガジンあばやvol.11(ルックル)
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フリーマガジンあばやvol.11(ルックル)
?????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????? 南種子町に伝わる座敷舞は、そのルーツを辿れば室町時代までさかのぼる。 「舞」とつくと、いわゆる日本舞踊や能のような、華やかかつ雅やかなイメージを持つが、この座敷舞は当時の庶民階級の人々が、宴や祝いの席で即興で踊ったもので、素朴かつユーモラスな踊りである。 楽器はなく、座についている人々が手拍子を叩き、「○○舞はみーさーいーな、○○舞はみーさいな」と一定の節回しで囃子を入れるだけで、それに応えて踊る踊り手の歌も、歌というよりは節回しである。囃子の○○舞、というところにはその時踊る舞の名前が入り、その種類は鳥刺し・バックー(種子島弁で蟇蛙)・婆じょう・ガニ(蟹)、そして味噌摺り等様々な種類があり、またそこに見られる題材は、実に庶民的で身近なモチーフばかりである。 それぞれの舞には一連のストーリーがあり、当時の人々の目が、共同体で共に生きる人々や、日用品、身近な生き物などにどう注がれていたのか、生きて行く中でどのようなことに希望を持ち、どんな信仰を持って日々を送ったかなどが垣間見えるようで面白い。 踊り手の動きもそのモチーフの特徴をよくとらえた物真似のようであり、舞というよりは狂言、さほど長くない舞の中に何度か場面転換が入るからだろうか。個人的には芝居でも見ているように感じられる。 私が小さい頃は、部落の飲んかた(飲み会)等があると、酔った勢いにまかせ、好き勝手な歌を即興で歌いながら踊り出す、そんな焼酎くらぁ(焼酎呑み=大酒飲み)のおじさんがよくいたものだ。そして、そういう焼酎くらぁのいる飲んかたの席は、老若男女問わず、場にいる皆が笑顔になる不思議な和があった。 南種子の座敷舞には、その和のような懐かしさや温かさがあり、人の心にある原風景のようなものであり、だからこそ時代をこえて愛され続けているのだろう。写真提供:南種子町教育委員会バック-(蟇蛙)舞婆じょう舞鳥刺し舞07 TANEGASHIMA FREE MAGAZINE「AVAYA!」取材:羽生 花王里